(午後3時10分再開)

◯委員長(大井としひろ) それでは,ただいまから大都市行財政制度に関する特別委員会を再開いたします。
 それでは,これより参考人としてお越しいただきました辻 琢也様から御意見をお聞きいたしたいと存じます。
 辻様におかれましては,意見陳述をお願いいたしましたところ,御多忙にもかかわりませずお引き受けいただきまして,まことにありがとうございます。
 辻様は,現在,一橋大学大学院法学研究科の教授及び副学長として御活躍中でございます。専門は行政学・地方自治論で,行政一般に係る理論的研究,日本の地方自治・地方政策に係る実証研究等をテーマに研究活動されており,第30次・第31次地方制度調査会委員,横浜市大都市自治研究会座長などを務めておられます。本日は,超高齢社会の到来と大都市制度改革というテーマで,御意見をお聞きいたしたいと存じます。
 それでは,早速御意見を賜りたいと存じますが,予定といたしましては,ただいまより約1時間30分程度,御意見の陳述をいただいた後,各委員からの質疑をお願いしたいと考えております。
 それでは,辻様,よろしくお願いいたします。

◯参考人 ただいま御紹介いただきましたが,私は行政学の専門,中でも地方自治でして,割と地方自治の実証的な研究をしてきました。この分野,大学院時代から含めまして,もう20数年ぐらいになりますけど,私がちょうど大学院を卒業するぐらいのころ,一番日本の中で輝かしく,当時,私が光っていたと思ったのは神戸市さんでして,当時,株式会社と言われながらも,国とも一定のスタンスをとりながら,活気あるまちづくりをしていたということで,随分勉強になりました。当時は一方的に勉強させてもらうだけでしたけど,神戸市の皆さんには随分,勉強するに当たって,いろいろ便宜を図っていただきまして,今でも私の自治研究の原点にあるような気がしてます。あの後,震災等もいろいろありまして,神戸市さんもなかなか大変な状況を迎えて,今日に至ってると思いますが,しかし,日本全体のバランスでいうと,やっぱり東京から離れたところで,非常に自治の1つの誇るべき核があるというのは,大変望ましいことでありまして,ぜひ今後とも御尽力いただきたいと思ってますし,きょうその憧れの神戸市に呼んでいただいて,しかもこの大都市制度についてお話をできるというのは,私にとってはこの上なくうれしいことであります。
 それでは,時間も限られてますので,私のほうからお話しさせていただきます。私は,この委員会が始まる前,少し待機するときにテレビで皆さんの質疑を聞いていたんですが,結構,充実した質疑をされてまして,もしかすると最初から質疑応答のほうがいいのかもしれませんが,全般的な話と,それから幾つか──途中で出てきましたので全部聞いたわけではないんですが,皆さんの御議論になったところも含めて,少し私のほうから説明させていただきまして,その後,皆様からいろいろ御指摘いただければと思います。
 それでは,まず今回のこの大都市制度改革の大前提,日本全体の地方創生の大前提にもなってくるときに,人口減少という話があります。これは5年ぐらい前,国土審議会が出したグラフなんですが,私はこれを非常に気に入ってまして,過去1,200年間の日本の実績の人口動態と,今後100年間の日本の人口推移を予測したものになります。真ん中の実線が中位,下が下位ですね,出生率がさらに減った場合。一番上が,楽観的に出生率が回復した場合どうなるかっていうのを5年前予測したものになりますが,強調したいのは,ここのところ,ともかくここ150年ぐらい4倍に人口増加してた,こういう真っ盛りの中で,今後,ちょうどそれをひっくり返すように,まさに坂を転げ落ちるように人口減少していくと,こういう状況だということです。出生率を回復させるのは非常に重要な政策です。しかし,見てわかるとおり,10年,20年考えたら出生率回復してもしなくても,大きな人口動態に影響を与えません。50年後,100年後,非常に大きな差が生まれてくるんですけど,直近でいうと非常に厳しい。成果が出ても,その成果を実感できない少子化対策というのをしていかなきゃならないというのが,ここからわかります。
 これは,もうちょっと同じようなものを,2005年を起点に50年,50年で切ったものになりまして,少しいつも見てるものに見なれます。ポイントは,総人口は今後ずっと減り続けます。間違いなく減ります。問題は,高齢者人口で,高齢者人口は大体今の予測で2040年代ぐらいに絶対数でピークを迎えるんじゃないかというふうに言われてまして,したがいまして,長生きした人だけ総人口も減るけど,高齢者も減るという時代を生きることになります。それ以外の人は,特に都市部は総人口は減るけど,高齢者はふえ続けるという中で,生活を続けるということになるんだということですね。

以下省略